【1】 佳堯「―なら、私は…あの時、一体、誰を………」 ―外の雨が一層強くなる。
【2】 ミユキ「これから、こういう静かな時間が延々と続いていくんですかね」 ユウシロウ「それはそれで、がっかりなんだよ」
【3】 コウイチ「あ、そうだ。この家の周りに4つ同じような家があるだろ?」 ミユキ「ありましたっけ?」 コウイチ「俺もさっきここへきて気づいたんだ。どうして今まで気づかなかったんだろうな。唯一違うのは、屋根の色と形かな。赤と黒の屋根が二つずつ」
【4】 コウイチ「…ここ何。こんな所に部屋なんかあったっけ」 ミユキ「ありましたっけ?」 ―部屋の真ん中には、ルーレットが設置されている。
【5】 葵「―人はどこで自分と他人を区別するのか。目の見えない人間が視力を取り戻した時に覗いた鏡には、何が映っているのか」
【6】 大樹「でも大丈夫か?こんな不便な山奥」 葵「正直言って、手に余るのは確かよ」
【7】 ―碧がソファの後ろに立って部屋を見渡している。
【8】 ユウシロウ「電気、つけないんですか?暗くて見えづらそうだから」 碧「あ、え、つけ…ます?…ましょうか…」
【9】 碧「…そうですか。アナタも道に迷われて」 森平「突然の雨で視界が悪くなって、自分がどこにいるのかも見失うぐらいで。怪しいですよね。こんな妙な男が急に。家にあげてくれといったところで」
【10】 松葉「…ところでお前、どうやって入った?俺、鍵を掛けて行かなかったか?」 森平「鍵っていうか、開けてもらったんだ。…あれはお前の…かみさんなのかな?」 松葉「…誰の事を言ってるんだ」
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撮影者:荒多恵子 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。