Purgatorioの世界 of #023 PerformenV~Purgatorio~

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Purgatorio(煉獄)の構成

「カレ」は医師の卵であるフィーネもしくは化学者の卵であるメンテと共に、この世界の仕組みに触れるため、Purgatorioの頂上を目指す。Purgatorioは円錐状の山で、下から順に6+αの冠で構成されている。



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◆前城の【技法】
その錬金術師は無から有を生み出そうとしていた。錬金術は化学であり医学でもある。
彼は、持てる知識をすべて使い、「人間」を生み出そうとしていた。
墓を暴き、死者の人体を集め、つなぎ合わせてみたが、そのモノが動く事はなかった。
やがて錬金術師は、「悪魔」のレッテルを貼られ、火刑に処せられる。
燃え盛る炎に焼かれながら、彼は娘と弟子に、0から完全なる生命を生み出すことを託す。


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◆門の【律動】
かつて「セガレ」と呼ばれていた彼は、画一化した社会で相変わらず、律動人型として生きていた。あれ程持ち続けていた、「生きている」事への疑問すらも今は忘れつつある。ある日、都会の真ん中に大きくそびえる山を見つける。山の傍には医師の卵、フィーネと化学者の卵、メンテが人間のような人形を躍らせようとしている。聞けばその山はもともと、二人の師である錬金術師が掘った地下深い穴の裏側にできた山だという。師はこう言ったらしい。
「仕組みさえ整っていれば、それを「人間」と呼んで差し支えない。」その山の頂には、人と人形を分ける、大いなる知恵があるらしい。カレは再び「生死」の意味を探し、若き男女と共にPurgatorioを登って行った。


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◆第一冠 《Cordman【配線】》 
(フィーネ編)
人間の中に敷かれた高度な配線が間違っていたり、勝手に外の世界へと繋がっていたらどうなるか。
身体の意思を奪われた刑事・青木とその周囲の人間が巻き起こす、操り人形の糸が間違った配線の元に生きる人間達の浄罪。

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◆第一冠 《Cordman【配線】》 
(メンテ編)
人間の中に敷かれた高度な配線が間違っていたり、勝手に外の世界へと繋がっていたらどうなるか。
身体の意思を奪われた看護師・梅木とその家族が巻き起こす、操り人形の糸が間違った配線の元に生きる人間達の浄罪。

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◆サピアの【絶壁】
この山には山道はない。中でも一冠と二冠の間にあるこの絶壁を登るのは困難とされている。彼らはここで、意思を持ったと思われる2体の律動人型、アンジェロとセルヴァと出会う。2人もまた、それぞれの理由から頂上を目指すという。ひと際傍若無人な山守達と「垂直」にそびえる絶壁の前で繰り広げられる「水平」思考問題。


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◆第二冠 《Watchman【吹替】》 
(フィーネ編)
サイレントの世界で勝手に物語を創造する者達の浄罪。後期高齢者かつ、ホームレス界の「ハゲめの錬金術師」略して「ハゲレン」との声高いトリメさんにいよいよ引退の時期が迫る。

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◆第二冠《Watchman【吹替】》 
(メンテ編)
サイレントの世界で勝手に物語を創造する者達の浄罪。後期高齢者かつ、ホームレス界の「髪の目」と呼ばれるトリメさんに対するは、真の「神の目」を持つ者達。

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◆キルケの【霧】
先を進むカレら一行は気怠い霧に遮られ、行方を見失う。案内された山小屋で疲れに身を任せ休憩をとっていると、火刑で処せられた錬金術師の夢を見る。そこを不意に6人の訪問者に襲撃され目が覚めた。彼らは「天使」と名乗った。


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◆第三冠 《Reverseman【逆転】》 
(フィーネ編)
ある瞬間から、巻き戻しのように時間の流れがひたすら遡って行く者の浄罪。通常の流れをする外の世界の中で、いかに摩擦を起こさずに日常を暮らせるのか。

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◆第三冠 《Layerman【多層】》
(メンテ編)
本来、別の次元で生活を送っているはず者達が、同一の次元に集められた場合の浄罪。別次元にいる者たちの言動は全く見聞きできてないはずが、偶然にも噛み合う瞬間があるはずである。

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◆第四冠 《Noiseman【雑音】》 
(フィーネ編)
自分にとって一番望ましい音だけを拾う音蒐集家の浄罪。多くの雑音の中から好ましい音だけを聞き取る自分勝手な人間達に、正しいコミュニケーションが保ちえるかどうか。

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◆第四冠 《Fitman【挿入】》
(メンテ編)
無意識に発せられる言葉は無責任なものである。
発言に制約を加えることで、自分の発した言葉に最初から最後まで責任が生まれる。そして却って歪みも生じる。

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◆サマリヤの【泉】
絶壁で出会った2体の律動人型は、自らの意思で考えようかどうしようか迷っている。考えをやめることは再び人形に戻る事だ。2体の意見は分かれ、進むべき道を違えようとしている。共に旅する2人の姿を見失ったカレは、山腹の村にたどり着く。そこでは泉の水を巡っていつ終わるともわからない抗争が続いていた。


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◆第五冠 《Switchman【交換】》 
(フィーネ編)
自分が自分たる、他人が他人たる所以はどこにあるのか。たとえその中身が入れ替わったとして、それが世界にどれだけの影響を与えるか。果たして与えないのか。アイデンティティを問われる者の浄罪。

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◆第五冠 《Recorderman【録音】》
(メンテ編)
常に同じ文脈を与えられた者の浄罪。一度喋りだした言葉は、相手が変わろうと不変であり、それでもなおかつ会話が成立する事が求められる。

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◆ケルビムの【剣】
楽園へ続くの東からの道は門で閉ざされており、門の前には燃え盛る天使の剣が道を塞いでいる。天使とは、「主」の命を愚直に守るシステムの事といえる。この門を突破しようとする者の前には、「天使」という防御システムが立ちはだかる。



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第六冠 《Flagman【条件】》
「主」はそれでも確信している。物事の連鎖と因果によって人間達が動くならば、各々に簡単なプログラムを条件づけるだけで、人間は勝手に動き、未来永劫にわたって「営み」らしき真似事をするのだ。それこそが「Performen」としての正しい姿だと。やはり「The Creator」たる自分は間違っていないと。「The Creator」たる自分が間違えているはずがないと。



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◆エデンの【東端】
カレらは頂きにたどり着く。
そこは楽園と呼ばれる場所の東の端であり、入口でもある。
かつて、人間がまだ「主」に近しい存在であった頃に住んでいた場所、
「Paradiso(パラディーゾ)」。
そこには「主」に与えられた、果実の生る木が生えていた。
「『何か』に動かされているならどうして自分達は存在しているのか。」
「何故我々は『何か』に支配され、大きな意思に従って生きるだけの存在に至ったのか。」
原罪をもたらした果実を前に、カレは答えを導き出すことができるのか―。


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