【31】
水野「ありました。『ノフン語―中米キオソの言語』だそうです」
染谷「お前、これ何の辞書だ」
水野「国語辞典ですけどなにか」
染谷「おぉ、もういいや」
【32】
松縄「どうも。私、キオソチュアの メタネウェです」
船山「同じくキオソチュアのハネイェメです。ネゲウイェサメセさんで間違いないですか?」
長尾「いえ。私は……違いますが。長尾です」
【33】
長尾「鶴田さん、大変です。彼ら、どうやら、キオソの人間らしい」
鶴田「え?知らないで対応してたの?」
長尾「言っている事がさっぱりわからない」
【34】
水野「どうも。に聞こえなかったのかもしれない。例えば『ドア、モア』みたいな英語に聞こえたとか」
本郷「どういう意味」
水野「もっとドア開けてって事だよ」
【35】
船山「エエ。エカシャヌエカ。『ノギ』ラというジョですね。『エ』ウェ?」
長尾「あ。…キオソに行ったときに気付いたんですが、あちらでは挨拶の際に握手をしなかったんです。逆に敵意を示してしまうとか」
【36】
鶴田「ミスター・メタネウェと、ミス・ハネイェメ。ですか。初めまして」
松縄「モモゲ ウェラオヌケム ソリネオ」
船山「イイ」
【37】
鶴田「ですから。ミスター・メタネウェと、ミス・ハネイェメ。ですね」
松縄「メーターネーウェーです!」
鶴田「めーたーねーうぇー」
船山「ハーネーイェーメーです」
鶴田「はーねーいぇーめー」
【38】
染谷「俺だってアイツらが何言ってるかわからないよ。だけどここでただ見守ってるだけなら。俺らの存在は何なんだって思うんだよ。…いつも相澤の所と比べられて、差をつけられて。挙句の果てに、やっちゃいけない所に手をつけちゃってさ。俺は悔しいんだよ」
【39】
染谷「だからな本郷、水野。ノフン語を訳すんだ。わからないならわからないでいい。デタラメでもいいから訳せ!」
水野「…で、…でたらめでいいんですか?」
【40】
染谷「呆れますね。アナタ方には。それでも外交のプロですか?」
鶴田「何がいけなかったんですか?」
染谷「初めからです。我々を間に挟んでないからこういう誤解が生じる」