【81】
樋口「それに！…私の立場はどうなるの」
蜂屋「陪審長？」
樋口「２、３分休憩にしましょうって言ったのに、これはもう話し合いが始まっちゃってるじゃないですか！私の立場は！」

【82】
倉澤「…じゃあ、体の中からこみあげたものが吐き出されたような感覚は」
蜂屋「中の水が零れたからじゃないですか」
倉澤「……………………私は…………桶だったのか？」

【83】
由比「被告人が遊郭にいたというのは嘘です。彼は私の所には来なかった」
安藤「え？どういう事？アナタが言い出したんでしょ？それでアリバイを主張してたんじゃないの？！」

【84】
三好「推測で事実を覆してはならない。ちょっと。アナタ、今の話でほだされているんじゃないでしょうね！無罪に回るつもりですか！」
安藤「ほ、…ほだされまくっちゃってるわよ！ 無罪でいい気がしてきたわ」
三好「何て簡単な女だ」

【85】
由比「それで被告人を、無理やり罰したんじゃないですか？」
山崎「じゃあ、冤罪じゃないですか」
三好「陪審長。判断は間違っていない。自分に自信を持ちなさい」
樋口「ちょっと考えさせてください」
中田「いいぞ。陪審長が揺らぎ始めた。もうひと押しって感じですよ」

【86】
滋野「どこだ。どこに転がったんだ。思いだせ」
倉澤「い、いや、それを思い出せと言われてもさ」
滋野「よし、寝ろ。転がしてみる。寝ろ」
倉澤「今ここでやって見せても意味ないでしょうよ」
滋野「それもそうだ」

【87】
三好「何を悩む事があるんです。この場において公判記録以外に、事実など何一つない。すべて想像、すべて推測。それも、自分が見て感じたとされるそんな曖昧な根拠だけです。本当にそんなものを見ているかも怪しい。何せ自分にしかわからないです。いくらでもでっちあげる事が出来る。こうであって欲しいという願望でしかない」

【88】
三好「…わかりましたよ。何もむきになって有罪にする必要もない。所詮はただのお遊びですから。無罪にしましょう。それでいいでしょ」
山崎「ようやくこれで、無罪で一致するんですね」

【89】
松浦「全員の証言がそろわないと、正しい判断ができないかもしれないじゃないですか」
樋口「それは確かに」
三好「いいでしょう。お話しましょう。実は私は、泥棒でした」
多賀「もう皆知ってたよ！」

【90】
松浦「いやだ。まだ。帰りたくない」
滋野「帰りたくない？何言ってんだお前」
松浦「全員の証言がそろわないと、正しい判断ができないかもしれないじゃないですか」