【81】
勝「うるせえ辰男!」
里見「………お前、見えるのか。この男が」
黒川「俺はずっとここにいる。コイツらの中で俺は死んでる事になってる。だから、見えないフリをし続けているのさ。この20年間」
【82】
勝「お前は、何で生きてる」
黒川「うるせぇ!」
勝「何で宍戸で死ななかった」
黒川「生きてるんだから仕方ねぇだろ!」
【83】
勝「死人は黙ってろ!…お前が生きてる事で、生きてる俺らも苦しい」
絢子「貴方たちは皆、狂ってます。貴方たちが魔物でしょう」
【84】
絢子「アナタは身代わりになったんですね」
黒川「俺のおかげで村を救った。そんな事を感じながら暮らしてる奴はいない。俺の命は何だったんだ」
【85】
絢子「やっぱり見たのね。それを誰かに言ったら、どうなるかわかってる?」
美代「…私の口を封じに来たんですか?」
【86】
ヨウ「ハンカチ?…血がついてる」
ヤス「誰の血かしら。…とりあえず、これは一つもって帰りましょう」
ヨウ「気持ち悪いわ」
ヤス「だって、汚れてても雑巾にできるじゃないの!」
ヨウ「…私達、この家に、雑巾を拾いに?」
【87】
里見「誰だ!」
ヤス「私です」
ヨウ「ちょっと、お義姉さん」
ヤス「見つかったんだからコソコソしなくていいのよ。居直っちゃえば」
【88】
勝「つまりな、それさえ除けば、残りの二人はお互いの家に関係ないって事だ」
茂「うちと山岡で枚数を、合わせるって事か、里見か、美代に」
【89】
ヤス「里見夫妻が戻ってきて、二人は昭三を担いで帰ってきて」
ヨウ「担いできたかと思うとおもむろに囲炉裏の中にぶちこんで!」
ヤス「煮てさ!」
ヨウ「焼いてさ!」
ヤス「そこまでしといて食わないの!」
【90】
昭三「あの雨の夜からですか。その咳は」
絢子「いいえ。もっと前からです。チューバキロシス。そういう病気らしいです」